「都会」といえば、普通の人であれば、高層ビルや高層マンションがたくさん立ち並んでいるような風景を思い浮かべると思います。
というわけで、「都会」の基準のひとつである高層建築物が新潟市が政令指定都市になってからどれくらい建設されたのかを調べてみました。
調べてみると数が多いので2つに分けて記事を作ります。
2つ目となるこの記事では、2015年〜2021年の期間中に完成した高層建築物(地上6階建て以上)と2022年以降に完成予定の高層建築物(地上6階建て以上・「建築計画のお知らせ」が掲示されていないものは除く)のリストを載せます。
そして、建物に番号をつけて地図上に建物の位置を記したものも載せます。
<更新履歴>
2024年2月16日 「都市再生緊急整備地域」は時期が違うので関係ないというのを追加
2023年12月3日 「古町が衰退したのはBRT・新バスシステムで乗り換えが発生したことが原因だ」と勘違いしている人がいまだにいるので、それに関することも追加(記事の下のほう)
2023年10月12日 記事内容一部修正、旧新潟三越跡地再開発に関することを追加
2022年5月21日 初投稿
上の画像は建物のリストです。
2015年〜2029年の期間中に完成した or 完成予定の高層建築物は83件でした。
年に7件〜12件建設され、2006年〜2014年に比べても数が多いことがわかりました。
上の画像は建設場所を示した地図です。
この期間は新潟駅周辺で特に多く建設されていることがわかります。
もちろん、万代周辺や古町周辺にも多く建設されています。
では、このように高層建築物の建設が増加した要因は何なのかについて、2015年から新潟市内で起こった出来事について振り返りながら考えてみようと思います。
2015年はBRT・新バスシステムが開業した年です。
開業当初はたしかに(BRT反対派の市民団体が運行妨害をしたせいで)運行トラブルが発生しました。
それから、あたまのおかしい新潟のマスコミがしつこく「乗り換えが発生するから不便だ」など、たった1個しかないデメリットを取り上げて批判する報道(=ゴミ報道)ばかりしてBRTのイメージを悪化させようとしていました。
しかしそのような妨害があったのにも関わらず、バスの利用者数は徐々に増加し、ダイヤ改正のたびに本数も増加、さらに新潟交通の業績も向上していったので、当初掲げていた「バスの利用者減少の悪循環に歯止めをかけ、利用者数を増加させる」という目標を達成することができました。
しかもこのころから高層建築物の建設数が2014年以前よりも多くなっているのです。
開業当初の運行トラブルの発生だけで「BRTは失敗した」とか言っている人がいるようですが、この今の状況が起こっていてどこが「失敗」と言えるのでしょうか?
バスの利用者だけでなく、街づくりにも良い影響を与えているわけですから、どう考えたってこれは「大成功」と言えます。
また、この期間中はBRT以外にも
・JR東日本新潟エリアの在来線でE129系電車やGV-E400系電気式軌道車、海里(HB-E300系ハイブリッド式気動車)などの新型車両の運行開始
・北陸新幹線の金沢延伸開業
・上越新幹線で新型車両E7系の運行開始(2023年に全ての車両がE7系に統一)
・上越新幹線の最高速度が275km/hに向上し、東京〜新潟間の最速便の所要時間が1時間29分になる
・115系やキハ40系などの古い車両の全廃
・新駅「上所駅」開業決定
・新潟駅の高架化完成
など、新潟県内では鉄道に関しても大きな変化が起こっています。
オフィスビルや商業ビルの再開発も活発になりました。
2010年に古町にあった新潟大和が閉店後、それからは再開発計画が全く進展しない状況が続いていましたが、2015年に西蒲区に本社を置く明和工業が土地を取得したことで再開発計画が大きく動き出しました。
そして2020年に再開発ビル「古町ルフル」が完成、2022年3月には広場も完成しました。
さらに、2017年に日生不動産東大通ビル、2019年にIMA Vビル、2020年にマルタケビルとJR東日本新潟支社ビル、2022年に日生不動産新潟駅前ビルと日本生命新潟ビル、2026年に新潟駅南口のオフィスビルなどいくつかのオフィスビルの建て替えや建設が行われています。
2014年以前は新しいオフィスビルの建設は少なかったのですが、2015年以降はその建設が活発になっていることが分かります。
2016年は新潟駅構内にあった都市型家電量販店のヨドバシカメラが新潟駅万代口駅前に拡大移転オープンしました。
なお、ヨドバシカメラ自体は1995年にオープンしており、今年で27周年になります。
2009年にビックカメラがオープンしたので、ヨドバシカメラが負けて撤退してしまうのではないかと考えていた人もいたようですが、そんなことはなく、むしろ余裕だったようですね。
それから、2019年には本町のイトーヨーカドー丸大新潟店の5階に家電量販店のノジマがオープンしました。
都会の駅前や中心市街地でよく見られる光景が新潟市でも当たり前に見られるようになりました。
2018年にはアパグループが万代5丁目に1001室の大規模ホテルと19階建てのマンションの建設を発表しました。
実はもっと前からこのエリアで開発計画がありましたが、2008年のリーマン・ショックを理由に開発は見送られてしまいました。
しかし、2017年10月に完成した同社の分譲マンション「ザ・プレミア〈新潟萬代橋〉」の売れ行きが好調だったことから開発計画が再燃します。
その後はコロナの影響でホテル業界は逆風となってしまいますが、それも乗り越えて、2022年2月に無事ホテルが完成・開業しました。
新潟市は大不況にも強くなったことがわかります。
さらに2018年は新潟駅の在来線2〜5番線が高架化しました。
そして2022年6月には1番線も高架化しました。
2024年春までには駅構内の商業店舗とBRT高架下交通広場も完成し、2025年には駅前広場も完成予定です。
2019年から2021年にかけて、万代シテイのリニューアル工事も行われました。
バスターミナル、広場、店舗、歩道、ホテルなどが明るく楽しい雰囲気になりました。
新潟駅や古町などと一緒に街全体の雰囲気もどんどん新しく印象の良いものになっていきます。
2019年は本町のイトーヨーカドー丸大新潟店がリニューアルしました。
この頃はイトーヨーカドー自体業績が悪化しており、新潟県内も全国的にも多くの店舗が撤退してしまいましたが、新潟店は生き残ることができました。
しかもフルリニューアルが行われ、都市型家電量販店のノジマも5階に出店するなど、新潟店についてはかなり期待が大きいようです。
2017年はそれまで下がり続けていた地価が上昇に転じました。
今でも上昇し続けており、最近は特に新潟駅や万代の地価の上昇率が高くなっています。
今この辺りで何が起こっているのかというと、新潟駅の高架下でBRT高架下交通広場の整備が行われています。
駅の南北の往来がしやすくなり、将来的にバスとバスとの乗り換えやバスと鉄道とのもしやすくなり、バスの直通運転もできるようになるため利便性が向上することが期待されているのではないでしょうか?
つまり、これもBRTのおかげです。
ちなみに、外国人観光客が増えることでも地価が上昇する傾向にありますが、新潟市は外国人観光客は少なく、今でも少ないのでそれは関係ありません。
最近は古町(西堀)の旧新潟三越跡地の再開発にも大きな進展がありました。
ここには高さ約150m、階数37階建て、低層階が商業フロアとオフィスフロア、上層階がマンションで構成される超高層複合ビルが建設されることになります。
高さについては、今一番高い「万代島ビル(140.5m)」を超えることになります。
規模だけでなく、この再開発によって古町は再びたくさんの人で盛り上がる街になることも期待できます。
これもやはりBRTの効果が後押ししていると言えます。
前市長の篠田氏が言っていた「BRTで古町が活性化する」というのも実現することになります。
(2023年12月3日UP!!)
しかし、古町地区や西堀ローサに関しては厳しい状況が続いています。
「古町が衰退したのはBRT・新バスシステムによってバスの乗り換えが発生したことが原因だ!」とか言っている人がいまだにいるようですが、それは違います。
そうではなく、以下の記事にも書きましたが、郊外に次から次へと商業店舗が出店し続けていること、そして、古町地区には集客力のある魅力的な商業店舗が少ないことが原因です。
【街づくり】BRTで乗り換えが発生しても駐車場が有料でも西堀ローサが大苦戦していても、多くの人で賑わって活気があり、空きテナントや空き地が少なく、最近は店舗のリニューアルや建て替えも多い「本町」が健闘している秘訣とは?
【街づくり】万代シテイは2023年11月に開業50周年!50年経過して時代が大きく変わっても、車依存社会になっても、駐車場が有料でも、郊外に次から次へと大型の商業店舗が出店しても郊外に勝利し続けているその秘訣とは?
そういう勘違いをしている人が多いのはマスコミがしつこく間違った情報を報道し続けているからだと思います。
マスコミの報道を鵜呑みにしないで、騙されないで、自分で調べて考えるクセをつけてほしいと思います。
なお、この期間は新潟市の人口は減っているので、この再開発ラッシュは人口増減によるものではないことが言えます。
外国人観光客も新潟市は少なく、今でもあまり増えていないので、外国人観光客も関係ありません。
(2024年2月16日追記)
「都市再生緊急整備地域に指定されたからだ」とか「にいがた2kmのおかげだ」とか言う人もいるようですが、それは2021年の出来事ですから時期が違いすぎます。
そもそも「都市再生緊急整備地域」というのは高層建築物のの建設を促進するものというよりも、ざっくり言うと背の高い大きい建物(例えば高さ100m以上の超高層建築物など)が建てやすくなるというものです。
しかし、それに指定されたからと言って超高層建築物の建設が増えるわけではなく、現にその制度が適用されているのは今のところ2件しかありません。
それにリストを見ればわかりますが、都市再生緊急整備地域の指定後は高層建築物の建設数が減っています。
ではこの期間は何が起こっているのかというと何回も述べていますが、BRTの開業です。それしかありません。
一般的には再開発の活発化や地価の上昇は公共交通の利便性が向上することでも起こる傾向にありますから、間違いありません。
BRTの開業により公共交通の利便性が向上したことで、BRT萬代橋ラインの沿線など公共交通の利便性が高い地域に住みたいと思う人が増えたのだと思います。
最後にもう一度書きますが、
開業当初の運行トラブルの発生だけで「BRTは失敗した」とか言っている人がいるようですが、今のこの状況を見てこれのどこが「失敗」と言えるのでしょうか?
バスの利用者だけでなく、街づくりや新潟市民の意識にも良い影響を与えているわけですから、どう考えたってBRTは「大成功」と言えます。
もし、それ以外に要因があるというのなら反論してみてほしいと思います。